H .24.2 s-12
“ はやぶさ ” (探査機)は 2003年5月9日 鹿児島県 内之浦 宇宙空間観測所 より打ち上げられた。
イオンエンジン の 実証試験 を行いながら 2005 年 夏 アポロ群 の 小惑星イトカワ に 到 達 し、
その表面を詳しく 観 測 して サンプル採集 を試みた後、2010年6月13日、60億 q の 旅 を終え、
7 年 ぶりに 地 球 に 大気圏 再突入 した。
地 球 重力圏外 にある 天体の個体表面 に 着 陸 しての サンプルリターンは、 世界初 である。
“ はやぶさ の 大冒険 の 旅 ” にはなんとも言えない ロマン を 感 じます。
この大事業はあらゆる分野の 知 識、物 理、化 学、数 学、天文学 等、 人類文明
の
すべてを 集 結 したもの のように思えます。
“ はやぶさ ” に関する 資 料 を集めたので Key Word 的 に並べて My HP に 載せ ました。
出 典 「 はやぶさ の 大 冒 険 」 山 根 一 真 著 中 心 に
N H K T V . 新 聞 .Internet Surfing .Wikipedia
.その他
★ “はやぶさ”が 宇宙 の 旅 をした 軌 跡 を下図に示します
● S は 太 陽 ○ は E 地 球 の 軌 道
○ I イトカワ の 軌 道 ○ M
上右図 は はやぶさ (小惑星探査機) ロケット 発 射(2003.5.9)
→ 地 球 スイングバイ (2004.5.19.) → 小惑星 イトカワ に 到 着 (2005 夏)
イトカワ の 遠 日 点 (イトカワの 軌道上 でイトカワが 太 陽 と一番遠くなる点)
距 離 1.7 天文単位 ≒ 2..54 億 q (149.598.000 q×1.7 = 254.316.600 q)
★ 地 球 スイングバイ( swing-by ) と 宇 宙 速 度
スイングバイ とは、天体の万有引力を利用して宇宙機の運動方向を変更する技術。
天体の公転運動利用 することで宇宙機を 増 速 あるいは 減 速 することができる。
スイングバイ は燃 料に頼らず速度を変えることが可能なので、ロケッツトや探査機に搭載する
燃 料 の 節 約 になる。
宇 宙 速 度 とは、宇宙で各種慣性飛行を行うために必要な最小初速度の
大きさをいう。
第一,第二,第三宇宙速度 に分けられる。
地 表 から水平に打ち出された 砲 弾 は重力に引かれて 地 表 に落下する (Α Β)
第一宇宙速度 ( 7 .9 q/s , 時速 2 ,.8 万 q )で打ち出された場合は 人工衛星 となる (C)
第二宇宙速度 ( 脱出速度 11 q/s . 時速 4 万 q )
地 球 の重力を振り切るために必要な最小初速度。
太 陽 を回る 人工惑星 になるためには第二宇宙速度が必要
第三宇宙速度 ( 17 q/s . 時速 6 万 q ) ( E )
地 球 表面から慣性飛行をおこなって、太 陽 の重力を振り切る ために必要な最小初速度
★ 小惑星探査機 “はやぶさ ” の 命 名
探査機 はやぶさ 猛 禽 ハヤブサ 隼 戦 闘 機 新幹線 はやぶさ
宇宙科学研究所 では 探査機の名前 は、関係者同士の協議によって 命名 されて来ました
「はやぶさ」 の他に 「ATOM」 という有力候補がありました。この名は的川泰宣を中心に組織票が
投じられていた案でした。一方 「はやぶさ」 は上杉邦憲と川口淳一郎によって提案され、
小惑星のサンプル採取が1秒ほどの着地と離陸の間に行われる様子をハヤブサに見立てた案でした
結局、探査機 の打ち上げの 日 に初めて 「 はやぶさ 」 という正式名称が発表されました
上に、画 像 4枚並べましたが、 猛 禽 ハヤブサ は 獲 物 を 捕 獲 する 素 早さ、
隼 戦 闘 機 は 糸川英夫博士 がロケット開発の前に 中島飛行機(群馬県.前橋市)で
この 飛 行 機 の 設 計 に従事していました。
新 幹 線 はやぶさ は 同 時期 に 東 京 ー 青 森 間 で 開 通 しました。
ちなもに、小惑星いとかわ探査 総 指 揮 をとった 川口淳一郎 は 青森県.弘前市出身
これらの はやぶさ は なぜか 赤 い 糸 で 結ばれているような気がしました。
★ 小惑星 “イトカワ ” の 命 名
ss
イトカワ 全長 約 500 m サンア゜ル 百分の一 ミリ の 微 粒 子 表 面 を 観 測 して着 地
イトカワ 地 表 の 地 名 候 補
宇宙科学研究所 は 米国 LINEAR(地球近傍小惑星探査 共同体)に日本のロケット開発の
父 . 糸川英夫の名前 を付けるよう 命 名 権 を持つ発見者の LINEAR に 依 頼 した。
LINEAR はこれを 承 認。 2003年8月6日 ITOKAWA と 命 名 された。
★ 探査機 「はやぶさ」の 構 造、搭載装置、主な 機 能
構 造 大きさ W × D × H = 1.5 × 1.5 × 2.0 m 質 量 510 s
ソーラーパネル 6 m
搭 載 装 置 と 主 な 機 能
◆ イオン エンジン μ10 (マイクロ波放 電式イオンエンジン) 主推進エンジン
◆ 推進剤タンク . 推進剤 キセノン 66 s
◆ リアクションホィール (機体の姿勢を維持する装置) フライホィールの一種
◆ 姿勢制御スラスター 12 基
◆ サンプルホーン イトカワ 地表面の 物 質 を 採取する 装 置
◆ マーカーボール イトカワ 地表に接近する際に地表との 距 離 を 観 測 しながら
降下して行く。 地 表 の 目 印 として使う。
◆ ソーラーパネル 電 源
◆ カメラ 可視分光撮像カメラ 、望遠光学航法カメラ、広角光学航法カメラ
◆ レーダー
◆ レーザー高度計
◆ 近赤外線分光器
◆ 蛍光×線スペクトロメータ
◆ 宇宙通信用アンテナ 3 基 バッテリーの消費電力を小さくするため使い分ける
高感度 アンテナ 情報量の大きい通信 消費電力が大きい
中感度 アンテナ 通常通信
低感度 アンテナ 情報量が少なく、急がないとき 消費電力が小さい
特に、はやぶさのバッテリー容量が少なくなったとき、消費電力を少なく
抑えるため必要最小限の単 文 とした。返信は Yes or No OK or NG 等
戦国時代 戦 場 の 武 将 が 妻 に出した手紙 “ おせん 泣かすな 馬 肥やせ ”
◆ コンピューター 至れり、 つくせり の お 利 口 さん
★ イオンエンジン (マイクロ波放電式) 主推進エンジン
イオンエンジン で 推 進 イオンエンジン 原 理 図
上左図はイオン化 した キセノン を 噴射しながら小惑星 イトカワを追いかけている。
右図 2つはイオンエンジンの 原理図です。
キセノンガス に マイクロ波放電 すると キセノン は +イオン 化 します。
図のように穴の沢山あいた − 電 極 が設けられているのでキセノンイオンはこれに
向かって突進する。しかし 穴が沢山あるので殆どのイオンは通過してしまう。
これがイオン噴射 です。推進力は 8mN/3.400sec 一円玉 一個 を持ち上げる力
こんな小さな推進力でも宇宙は無重力状態なので 小惑星イトカワ に追いつける。
★ イトカワ の サンプル 採集作業
図 AAA BBB CCC DDD EEE
図 ー AAA 近距離 レーザー高度計 を使いながら イトカワ の 地 面 に降下する。
4本のレーザー光 で 測 距、「 椅子の脚の原理 」 で 地 面 がどの程度
傾いているかを 認 識 する。
図 ー BBB イトカワ 地 表 に 接近中 の はやぶさ
図 ー CCC マーカーボール イトカワの地面の目印とする
物づくり で 超精密加工の裏方さんの活躍はいろいろありますが
お愛嬌のようなエピソードもありました。
イトカワは小惑星のため質量が小さく、重力 引力が殆どあません。
野球ボールのような目印を落下させても跳ね上がってしまう。
そこで、日本に古くからあるお手玉の原理を使って、袋の中に米粒か、
豆粒のようなものを入れた目印を作ったそうです。
イトカワに落下させたとき、 ぐズ〜 と着地
図 ー DDD サンプラーホーン イトカワ地表面の物質を収集する
イトカワの地表に着地した瞬間に弾丸を発射、舞い上がった物質を捕獲する
図 ー EEE サンプルカプセル 収集物質収納容器 サンア゛ルをこのカプセルに
封入して地球に持ち帰る。地球大気圏に再突入するときは大気との摩擦で
高熱にさらされる。「 ヒートシールド 」に守られて、3000度の熱をくぐりぬけて
無 事 地 球 表 面 に 着 地 した。
★ “はやぶさ ” ピンチ 音信不通 行方不明
イオンエンジン 4 基 ソーラーパネル リフクションホィール
「 はやぶさ 」 は 宇宙運行中 に次々 と 機器・装置 の 故 障 トラブル に 遭 遇
2005年7月31日には 3 基 あるリアクションホィール (機体の姿勢維持を担う) 1 基 が
故 障。 でも 2 基 あれば 姿 勢 コントロール は 可 能 であった。
2009年11月 イオンエンジン 4 基 (ABCD) 唯一生き残っていた・ D の 寿 命 がつき
「 はやぶさ 」 は、もは やこれまでかと 思わせた。
このように、推進エンジン 4基 全部失ったので機体の運行で加速も減速も
できなくなりました。その上、姿勢制御もでなくなったため地球へ向かう軌道修正は
不可能となった。 ソーラーパネルは太陽エネルギーを効率よく受け取るために
常に太陽に向くように自動制御されています。姿勢制御機能が失われたので
バッテリーはやがて消耗。命の綱の地球基地局との交信できなくなりました。
音信不通 の 行方不明 となってしまいました。 “ 宇 宙 の 迷 子”
ところが、奇跡的な出来事というか、お話 2つ
▼ 1 つ は、 バッテリー 充 電 の 回 復
“ はやぶさ ” は 宇宙まかせ の 飛 行をつづけているうちに 機 体 姿 勢 が
少しつづ変わり ソーラーパネル が 太 陽 に向くようになってきました。
従って、バッテリーの充電がはじまり、かすかな電波 で基地局に向け 送 信 できました。
基地局では祈るような気持ちで “ はやぶさ ” からの信号を監視、待ちつづけております。
2006年 2月 2日 待ちに、待った 天 からの、 いや 宇 宙 から の“ 贈 り 物 ” が
届きました。 上の 受信波形 雑 音 に交じった 1本 の 柱 「 はやぶさ 」 の 声 です。
これを見た 基地局 の スタッフ は 飛び上がるような 感 動 ・感 激 を 覚えた ことでしょう。
「 こはやぶさ 」 は “ 生きて い た ”
やがて、バッテリー充電 も 回 復 して 正 常 な 交 信 できるようになった。
★ 追 記 2015−11−22
はやぶさ が 方向制御装置 の 故 障 のため ソーラーパネルを太陽 に向けることができなくなった
やがて バッテリーは 枯渇 して通信不能 となった はやぶさ を失った技術陣 は 失 望
くれを 救 っ た の が プロジェクト リーダー の 川口淳一郎
川口 は いつかは はやぶさ の ソーラーパネル が 太 陽 に 向 く 時 があると 信じて 厳 密 に 計 算 した
その結果 60 % の 確 率 で 太 陽 に 向 くこと を 確 か め た
パネル が 太 陽 に 向 けば゛ はやぶさ から 信 号 が 来 る はずだ
これを 部 下 に 指 示 して はやぶさ の 捜 索 を 指 示
ところが 方向制御装置 リアクション スラスター (フライホィール) x y z 軸 全 部 壊 れ て いたました
イオンエンジン の 燃料噴射 で 方向制御 する 方 法 も あるが 4 個 の イオンエンジン A B C D とも 故 障 していた
イオンエンジン は 燃料噴射 と 中和装置 の働 き で 正 常 に 推 進 できる
幸いに A エンジン の 噴射装置 と B エンジン の 中和装置 が 生 き て いた
これを つないで 一つ の エンジン とする 仕 掛 け が 用 意 されていた ラッキー
さらに NEC 白川 健一 が 太陽光圧 を 利 用 することを 川 口 に 提 案 しました
太陽光圧 は 一平方 q 当たり 一 グラム の 圧 力 が ある という
▼ もう 1 つ は、 イオンエンジン の 修 復
「はやぶさ 」 の イオンエンジン は 写 真 に見るように 4 基 のイオンエンジン の
本体(スラスター) と それぞれ 45 度 上 にある 中 和 器 と ペァー になっている。
2009年11月 、唯 一 生き残っていた 「 イオンエンジン ・ D 」 の 寿 命 がつき
「 はやぶさ 」 は、もはや これまでかと 思わせた。
ところが 中和器 A と スラスター B を組み合わせることが可能な 「 しかけ 」 がしてあった
この、“ おまけ ” とも思われる 「 しかけ 」 機 器・ 故 障 時 の 修 復 策 の おかげ で
「 はやぶさ 」 は イオンエンジン を 修 復 することができました。
▼ “ はやぷ さ ” の 命 びろい についてい 補 足 説 明
まずは、バッテリーが 回 復 してきたため、命 の 綱 ともいえる 宇宙 通信 基地局 との交 信 が
可能になったひとである。 「 はやぶさ 」 からは 基 地 局 に 助けを求める。
これを受ける 基地局 では 「 はやぶさ 」 にたいして 機 器 修 復 に関する指示を 発 信 する
「 はやぶさ 」 は 人 間 の 頭 脳 を持ったような お 利 口 さんです。
故 障 個 所、故 障 内 容 を調べる 自 己 診 断 機 能 をそなえている。
その上、故 障 個 所 を 修 復する 自 己 修 復 機 能 まで持っております。
基地局 と 「 はやぶさ」 自 身 の 懸 命 の努力 の 結果 無 事 地 球 に 帰 還 できた
★ 小惑星探査機 〔 はやぶさ の 地 球 帰 還 〕
2010 年 6 月 13 日
ロケット 打ち上げから、7年間 60 億 q の 旅 を終え
地 球 大 気 圏 に 再 突 入
(南 オーストラリア ・ ウーメラ砂 漠 )
★ 【 はやぶさ プロジェクト 】 後 編
カプセル より 小 惑 星 イトカワ から 持 ち 帰 っ た サンプル を 取 り 出 す 回 収 する 装 置
Jaxa 技 術 人 と 日 立 技 術 人 の 共 同 で 開 発 さ れ た Curation
★ イトカワ の 微 粒 子 分 析
イトカワ の サンプル カプセル から 1000 個 以 上 の 微 粒 子 が 採 取 されました
微 粒 子 は 国 内 公 募 に より 審 査 で 認 定 された 各 大 学 に 配 布 されました
さらに 国 際 公 募 で 審 査 に 認 定 された 世 界 の 研究所 に 配 布 されました
● 北海道 大学
北海道大学 の 圦本尚義教授らの グループ は 重さの異なる酸素原子(同位体)の存在比 を 調べました。
酸素は惑星を構成する主要な元素で、重さが異なる 3種類 の 同位体 をもち、それぞれの存在比率 は惑星ごとに異なります。
イトカワ微粒子と地球物質の酸素同位体比。地球上の物質とは異なることが分かる。(提供:北海道大学/JAXA)
● 東北 大学
東北大学 の 中村智樹准教授らのグループ は 電子顕微鏡 と X線回折技術 を 併 用 して、
微粒子を構成する鉱物の詳しい化学組成を調べました。その結果、カンラン石、輝石、斜長石、トロイライト(硫化鉄)、
テーナイト (鉄ニッケル金属)、クロマイト などの 鉱物 により 微粒子が構成されている ことが分かりました。
この 鉱物 の 組み合わせは 地球 の 岩 石 にはなく、 普通 コンドライト 隕石特有 のものです。
白い粒(矢印)は泡が発生したあと 800℃まで加熱されたイトカワ微粒子 電子顕微鏡による画像( 提供:東北大学 )
イトカワ の 形成史 ( 提供: 東北大学 /J AXA )
これまでの分析によりイトカワの形成史が明らかになってきました。イトカワがたどった歴史は次のようなものです。(上図参照)
1 ) 約 46 億年 前に太陽系 が 誕生した後、チリやガスなどの太陽系初期の物質が集まり、イトカワ の 母天体 ができる。
2 ) 母天体の大きさは 直径 20 km 以上で、内部は 800 ℃ ほどの高温に上昇した。その後、母天体はゆっくり 冷 え た。
3 ) イトカワ の ほか の 小天体 が イトカワ の 母天体 に 衝 突 する。
4 ) 衝突の衝撃で母天体は完全に破壊され バラバラ になる。
5 ) バラバラになった破片の一部が互いの重力で寄り集まり、イトカワが誕生する。
誕生直後のイトカワの表面は 宇宙風化 の 影 響 を 受けていないため、
現在より 明るく 白っぽい色 をしていた。
6 ) 宇宙風化によって表面の色が次第に暗くなり、直径 約 500 m の現在のイトカワとなる。
また、微粒子の元素組成の分析で分かったイリジウムの含有量から、イトカワには太陽系のごく初期の形成プロセスの痕跡が
残っていることも分かっています。
イトカワの微粒子の分析が進めば、イトカワの歴史だけでなく、約46億年前の太陽系の誕生やその進化過程の解明につながります
● 茨城 大学
茨城大学 の 野口高明教授 らの グループ は イトカワ の 宇宙風化 を 調べるため、微粒子 を 樹 脂 で 固 め、
厚さ 約 0.1μm (1μm=0.001mm)ごとに スライ スして、その 断 面 を電子顕微鏡 で 観 察 しました。
その結果、表面から深さ約 50nm(1nm=0.001μm) の 領 域 に、明るくて 白っぽく 見える点 が 多 数 見つかり、それが、
宇宙風化 によって 作られた 鉄 に 富む ナノ 粒子 (超微粒子) であることを 突き止 めました。
太陽風 の 中 の イオン粒子 が 高 速 で 表 面 に 衝 突 したときに、鉄 を 主成分 とする ナノ粒 子 ができたと
考えられて います。
イトカワの表面の色合いが場所ごとに違うのは、この 鉄 を含む ナノ粒子 の 影 響 です。
コンドライト 隕 石 が宇宙風化 を 受けると、S型小惑星 と 同じスペクトル をもつようになるのです
微粒子 の 表面付近 を 観察する方法。微粒子をスライスしてその端を観察する。 (提供:茨城大学
中 図 の 白く見える点 は、宇宙風化 によって 作られた 鉄 に富む ナノ粒子 (提供:茨城大学
● 東京 大学
東京大学 の 長尾敬介教授らのグループによる分析により、イトカワの微粒子から太陽風に含まれるネオンなどの希ガスとその
同位体成分が太陽風とほぼ同じ比率で検出され、イトカワが宇宙風化を受けていたことを確認しました。
太陽風の希ガスは微粒子のごく表面にしか侵入できません。
その希ガスの量から、イトカワの最表面は、数百年〜数千年の間、太陽風をあびていたことが分かりました。
この太陽風の影響でイトカワの表面が風化していったのです。
一方、太陽系外から飛んでくる宇宙線による影響は検出されませんでした。
宇宙線は、天体表面から深さ1m程度の範囲まで影響を与えるもので、その影響は表面が100万年以上の長期間にわたって
宇宙空間にさらされないと現れません。このことは、分析したイトカワの微粒子が数百万年以下しか表面近くに出ていないことを意味します。
さらに、微粒子がずっと表面にいたのではなく、内部に潜ったり現れたりしたことも突き止めました。
イトカワの表面の微粒子は、内部に潜ったり表面に現れたりしながら、最終的には、宇宙風化の影響で、
100万年ごとに 数 十 cm 以上の割合で、宇宙空間へ飛ばされていたことが推測されます。
つまりイトカワは、100万年に数十cmの割合で小さくなっているといえます。
現在イトカワの大きさは 直径 約 500 mですが、このまま表面が削れていくと、どんどん小さくなり、
約 10 億年後 に 消 滅 する 可能性 があります。
太陽 から 放 射 されたネオンが イトカワの粒子3個 (#0015、#0053、#0065)に存在する。(提供:東京大学/JAXA
● 首都大学 東京
首都大学東京 の 海老原充教授らのグループは 中性子放射化分析 で 微粒子全体の元素組成を調べました。
中性子放射化分析とは、サンプルに中性子を当てると出てくるごく弱い放射線を精密に測ることで、
どんな元素がどの程度含まれているかを知る手法です。
これらの分析によりイトカワは、普通コンドライト隕石の中でも特に、酸化的環境で形成されたLL型というタイプと
同じであることを突き止めました。酸化的環境とは、結晶に取り込める酸素が豊富にある環境をいいます。
地球に頻繁に落ちてくる普通コンドライト隕石が、S型小惑星から飛来してきた証拠をつかんだのです
● 大阪 大学
大阪大学 の 土`山明教授 らの グループ が X線マイクロCT(コンピュータ 断層撮影装置) を用いて、
微粒子 の 3次元形状 と 内部構造 を 詳細 に 調べました。また、どんな鉱物でできているかを特定し
それら鉱物 の 3次元的空間分布 を 明らかに しました。
角 が 鋭 い 粒 子 (左) と 丸 み を 帯 び た 粒子 (右) (提供:大阪大学/JAXA)
こ の 他
● 京都 大学 ● 九州 大学 ● 名古屋 大学 ● 岡山 大学
● 福岡工業 大学 ● 財団法人 高輝度光科学研究センター
この ページ の Top へ
●●●@@@@♪♪♪★★★★★♪♪♪@@@@@♪♪♪★★★★★♪♪♪●●●
付 録 専 門 用 語 と 写 真
●●●●●◎◎◎◎☆☆☆☆★★★★★◆◆◆◆◆◆◆◆★★★★★☆☆☆☆◎◎◎◎●●●●●
【 写 真 集 】
はやぶさ ロケット 発射基地 鹿児島県 内之浦
小惑星探査機 はやぶさ イトカワに着地 2003ー5ー6 ロケット 発射
ロケット 発射台 弾頭部に格納それたは やぶさ は 蝶 が羽化するに現れる
小惑星探査機 はやぶさ の 機体全面 には 各種装置 が フル装備されています
太陽 の周りを 飛 航 する、 地 球、 イトカワ、 はやぶさ
スイングバイ ( Swng by ) 天体の万有引力を利用して宇宙機の運動方向、加速、減速する技術
イオンエンジン で飛行する はやぶさ イオンエンジン の 原 理 図
イオンエンジン の 構造 キセノンガス は 放電 により (+) (-) イオン化 される
(+) イオンは後方にある (-)電極に向かって外部に放出される。これが はやぶさの推力となります。
イオンエンジン と ロケットエンジン の推進力
エンジンの推進力 = 推進剤の質量 * 射出速度 = 運動量
mi * vi = ml * vl
イオンエンジンのイオン射出速度は 30 km/s ロケットエンジンの燃焼ガス射出速度は 3 km/s
mi * 30km/s = ml * 3km/s mi = ml * 1/10
同じ推進力を得るのにイオンエンジンは推進剤の質量を 1/10 に軽減できる。 機体の軽量化 が可能
角 運 動 量 保存の法則 r1 * m1 * v1 = r2 * m2 * v2
フィギュァスケート の スピン で 両 腕 を水平に広げて 回転 しているとき
両腕を上に揃えてあげると 回転速度 が 増す ( 角運動量保存 )
探査機 はやぶさ の 命 名 猛 禽 ハオブサ 隼 戦 闘 機 新幹線 はやぶさ
宇宙 通信 ( 地球〜はやぶさ ) 長 野 佐久市 交信 信号 はやぶさ〜地 球
イトカワ着地時サンア゜ル採取 弾丸発射 失敗 はやぶさは何回かバウンドしたので砂を飛散している
地 球に帰還 地球大気圏に突入でカプセル分 離 オーストラリアの砂漠 に落下 1/100ミリの微粒子
ロケット 打ち上げ から、7 年 間 60 億 km の 旅 を 終え
地 球 大 気 圏 に 再 突 入
( 南 オーストラリア ウーメラ 砂 漠 )
★
この ページ の Top へ
はやぶさ の 大冒険
〔 小惑星 探査機 〕