A B C 予 想  Yahoo よ り    np - 221  

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           参 考 資 料   A B C 予想  Wikipedia 「ABC 予想」の検索結果 - Yahoo!検索

                     A B C 予 想  ( 2012 朝日新聞 記 事 )  A B C 予 想 ( 2020 読売新聞 記 事 ) 



     A B C 予 想 は 1985 年 に オステルレ( 仏 ) と マツサー ( 英 ) により 提 起 された 数 論 の 予 想 である

     互いに素 でありかつ  a + b = c  を 満たす ような 3 つ の 自然数 ( この予想に呼び方を合わせると ) a, b, c について述べている

     abc 予 想 は 、この 予 想 から 数々 の 興 味 深 い 結 果 が 得られる ことから 有 名 になった。

     数 論 における 数 多 の 有名な 予 想 や 定 理 が abc 予 想 から 直ちに 導かれる 。Goldfeld (1996) は、

     abc 予 想 を 「 ディオファントス解析 で 最 も 重 要 な 未 解 決 問 題 」であるとしている
     



          数 学 上 の 未 解 決 問 題

                 a + b = c

     を満たす、互いに素 な 自然数 の 組 ( a, b, c ) に対し、積 abc の 互いに 異 なる 素 因 数 の 積 を d  と 表 す。

     このとき、任意の ε > 0 に対して

                 c > d1+ε

     を満たす 組 ( a, b, c )高 々 有 限 個 しか 存 在 しないであろうか


           a    b     a + b = c   d = rad (abc)   

           1     1       1 + 1 = 2      1× 2 = 2         c = d

           1      2        1 + 2 = 3      1 × 2 × 3 = 6          c d              

           1     3       1 + 3 = 4      1 × 3 × 2 = 6         c d

           1     4       1 + 4 = 5       1 × 2 × 5 = 10         c d

           1     5       1 + 5 = 6      1 × 5 × 2 × 3 = 30     c d

           1     6       1 + 6 = 7      1 × 3 × 2 × 7 = 42     c d

           1     7       1 + 7 = 8      1 × 7 × 2 = 14        c d

           1     8       1 + 8 = 9      1 × 2× 3 = 6          c d

           1     9       1 + 9 = 10      1 × 3 × 2 × 5 = 30     c d

           1     10      1 + 10 = 11      1 × 2 × 5 ×11 = 110    c d

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           2     1      2 + 1 = 3      2 × 3 = 6             c d
 
           2      2       2 + 2 = 4      2                c d

           2     3      2 + 3 = 5      2 × 3 × 5 = 30          c d

           2     4      2 + 4 = 6       2 × 3 = 6             c = d

           2     5      2 + 5 = 7      2 × 5 × 7 = 70         c d

           2     6      2 + 6 = 8      2 × 3 = 6             c d

           2     7      2 + 7 = 9      2 × 7 × 3 = 42          c d

           2     8      2 + 8 = 10      2 × 3 × 5 = 30         c d

           2     9      2 + 9 = 11      2 × 3 × 11 = 66        c d

           2     10     2 + 10 = 12     2 × 5 × 3 = 30         c d 
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           3     1      3 + 1 = 4      3 × 2 = 6            c d

           3     2      3 + 2 = 5      3 × 2 × 5 = 30        c d

           3     3      3 + 3 = 6      3 × 2 = 6           c = d

           3     4      3 + 4 = 7      3 × 2 × 7 = 42        c d

           3     5      3 + 5 = 8      3 × 5 × 2 = 30        c d

           3     6      3 + 6 = 9      3 × 2 = 6           c d

           3     7      3 + 7 = 10     3 ×7 × 5 × 2 = 210     c d

           3     8      3 + 8 = 11     3 × 2 × 11 = 66        c d

           3     9      3 + 9 = 12     3 × 2 = 6           c d

           3    10        3 + 10 =13     3 × 5 ×2× 13 = 390    c d

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         A B C 予 想 の 不 等 式


          c K ( ε ) × rad ( a b c ) 1 + ε   ε> 0    K ( ε ) ≧ 1


            不 等 式 の  制 約 定 義

        ●   a b c は 互いに 素 なる 正 の 整 数 であること

        ●   a b c の 組み合わせ の ことを a b c トリプル と いう

        ●   a b c  トリプル の それぞれ の 異なる 素 因 数 を かけあわせた もの を rad ( abc ) と いう

        ●    a b c  トリプル のクオリテイ を q ( abc ) = log c / log ( rad ( abc ) と 定 義 す る

        ●   ε> 0

        ●   K ( ε ) ≧ 1   K ( ε )   は ε  に よつて 決 ま る

        ●   


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        abc 予 想 の 不 等 式 で ε と K ( ε) の 関 係 を 逆 算 的 に 計 算 して グラフ を 書 いてみました


             求め方   c d となる いくつか の a b c トリプル を 選 び abc 予 想 の 不 等 式 が

                     成 り 立 つ ように 逆 算 す る

                 c K ( ε ) × rad ( a b c ) 1 + ε   


        a b c トリプル  ▼    1 + 8 = 9      1 × 2× 3 = 6          c d

            ε ≒ 0 の と き       9 / 6 1 = 1 . 5  K ( ε )

            ε = 0.5 の と き        9 / 6 1.5 ≒ 9 / 14.7 =  0 .6  K ( ε )

            ε = 1 の と き        9 / 6 2 = 9 / 36 =  0 .25  K ( ε )

            ε = 1.5 の と き       9 / 6 2.5 = 9 / 88.2 =  0 .1  K ( ε )

            ε = 2 の と き        9 / 6 3 = 9 / 216 =  0 .04  K ( ε )

            ε = 2.5 の と き      9 / 6 3.5 = 9 / 529 =  0 .017  K ( ε )

            ε = 3 の と き        9 / 6 4 = 9 / 36 × 36 = 9 / 1296 ≒ 0 .007  K ( ε )


       a b c トリプル  ▼    3 + 6 = 9      1 × 2× 3 = 6          c d

            ε ≒ 0 の と き       9 / 6 1 = 1 . 5  K ( ε )

            ε = 0.5 の と き        9 / 6 1.5 ≒ 9 / 14.7 =  0 .6  K ( ε )

            ε = 1 の と き        9 / 6 2 = 9 / 36 =  0 .25  K ( ε )

            ε = 1.5 の と き       9 / 6 2.5 = 9 / 88.2 =  0 .1  K ( ε )

            ε = 2 の と き        9 / 6 3 = 9 / 216 =  0 .04  K ( ε )

            ε = 2.5 の と き      9 / 6 3.5 = 9 / 529 =  0 .017  K ( ε )

            ε = 3 の と き        9 / 6 4 = 9 / 36 × 36 = 9 / 1296 ≒ 0 .007  K ( ε )


       a b c トリプル  ▼    2 + 9 = 12      1 × 2× 3 = 6          c d

            ε ≒ 0 の と き       12 / 6 1 = 2 . 0  K ( ε )

            ε = 0.5 の と き        9 / 6 1.5 ≒ 9 / 14.7 =  0 .6  K ( ε )

            ε = 1 の と き        9 / 6 2 = 9 / 36 =  0 .25  K ( ε )

            ε = 1.5 の と き       9 / 6 2.5 = 9 / 88.2 =  0 .1  K ( ε )

            ε = 2 の と き        9 / 6 3 = 9 / 216 =  0 .04  K ( ε )

            ε = 2.5 の と き      9 / 6 3.5 = 9 / 529 =  0 .017  K ( ε )

            ε = 3 の と き        9 / 6 4 = 9 / 36 × 36 = 9 / 1296 ≒ 0 .007  K ( ε )











      

   Weblio英和対訳辞書での「Inter-universal Teichmüller theory」の英訳

   Inter-universal Teichmüller theory


根基

0 でない整数N 根基rad(N) N の素因数の積として定義します。すなわち、

rad(N):=∏p∣Np

です(p は素数を表す)。ただし、rad(±1)=1 とします。定義から根基は必ず無平方(square-free)です。

ABC トリプル

自然数の三つ組(a,b,c) (ただし、a<b<c )がABCトリプルであるとは、a,b,c が互いに素であって

a+b=c

が成り立つときに言います(上記関係式から(a,b,c) はどの二つをとっても互いに素であることがわかります)。ここで、次の問題を考えます:

ABCトリプル(a,b,c) に対してc<rad(abc) ―(*)が成り立つか?

テキトーにABCトリプルを選ぶと結構成り立ちます。例えば、(8,17,25) に対しては

25<rad(8⋅17⋅25)=170

です。しかしながら、反例も見つかります。(1,8,9) に対しては

9>rad(1⋅8⋅9)=6

です。しかも、無数に反例があることが分かります:

n を自然数とする。このとき、ABCトリプル(1,32n−1,32n) は不等式(*)を満たさない。

証明. ord2(32n−1)≥n+2 が容易に確かめられるので(cf. 指数持ち上げ補題 - INTEGERS)、

rad(1⋅(32n−1)⋅32n)≤32n−12n+1⋅3<32n

と評価できる。Q.E.D.

ABC予想の主張

任意に正の数ε>0 をとったとき、(*)の代わりに

ABCトリプル(a,b,c) に対してc<rad(abc)1+ε (ε) が成り立つか?

を考えると反例が有限個になるであろうという予想がABC予想です。

ABC予想 (Masser and Oesterle) ε>0 を任意にとる。このとき、
c<rad(abc)1+ε
が有限個の例外を除くABCトリプル(a,b,c) に対して成立する。

ABC予想は次のような形に言い換えられます:

ABC予想の同値形① ε>0 を任意にとる。このとき、ε のみに依存する正定数Cε が存在して、
c<Cεrad(abc)1+ε
全てのABCトリプル(a,b,c) に対して成立する。

応用上はこちらの方が取り扱いやすかったりします。

同値であることの証明. ABC予想 同値形①は有限個の例外からCε を定めればよいので明らか。逆を示す。ε>0 を任意にとったとき、ε>ε′>0 を満たすε′ を取る。E (ε) を満たさないようなABCトリプル全体のなす集合とする。E が有限集合であることを示せばよい。E の元(a,b,c) を取ったとき、rad(abc)1+ε≤c が成り立つので、rad(abc)(1+ε)(1+ε′)≤c(1+ε′) が得られる。一方、ε′ に対する同値形①よりc<Cε′rad(abc)1+ε′ が成り立つので、c1+ε<Cε′1+εrad(abc)(1+ε)(1+ε′) が得られる。合わせると、c1+ε<Cε′1+εc1+ε′ となって、cε−ε′<Cε′1+ε なる評価が成り立つことがわかる。これを満たすようなc は高々有限個しか存在しないため、E も有限集合であることが従う。 Q.E.D.

また、対称形で表現されることもあります。これらが同値であることは明らかでしょう。

定義 整数の三つ組(a,b,c) 対称ABCトリプルであるとは、a,b,c が互いに素であって
a+b+c=0
が成り立つときに言う(この記事のみの言葉遣いであることに注意)。
ABC予想の同値形② ε>0 を任意にとる。このとき、
max{|a|,|b|,|c|}<rad(abc)1+ε
が有限個の例外を除く対称ABCトリプル(a,b,c) に対して成立する。
ABC予想の同値形③ ε>0 を任意にとる。このとき、ε のみに依存する正定数Cε が存在して、
max{|a|,|b|,|c|}<Cεrad(abc)1+ε
全ての対称ABCトリプル(a,b,c) に対して成立する



  

ABCトリプルのクオリティ

ABCトリプル(a,b,c) クオリティ

q(a,b,c):=log⁡clog⁡(rad(abc))

と定義します。このとき、ABC予想は次のように言い換えられます:

ABC予想の同値形④ 任意の正の数ε>0 に対して、q(a,b,c)≥1+ε を満たすようなABCトリプルは有限個しか存在しない。

今までにサーチされたABCトリプルの中でのクオリティの大きさのベスト3は次のようになっています:

2+6436341=6435343
q(2,310⋅​109,235)≒1.6299

121+48234375=48234496
q(112,32⋅​56⋅​73,221⋅​23)≒1.6260

24833+5020969537415167=502096953744000
q(19⋅1307,7⋅​292⋅​318,28⋅322⋅​54)≒1.6235

このような数値的な証拠から、例えば次のような強い予想もなされています:

予想 任意のABCトリプル(a,b,c) に対して不等式
c<rad(abc)2
が成り立つ。

Fermatの最終定理の導出

ABC予想を仮定すると様々な問題を解決できることが知られていますが、「Fermatの最終定理が有限個の例外を除いて成立する」といったことも証明できます。なお、前節最後に述べた予想を仮定すると、Fermatの最終定理を次のように導出することができます:

n 3 以上の整数とする。自然数の組(a,b,c) であって、an+bn=cn を満たすようなものが存在したと仮定する。このとき、(an,bn,cn) はABCトリプルであると仮定しても一般性を失わない。すると、前節最後に述べた予想が正しければ

cn<rad(anbncn)2=rad(abc)2≤(abc)2≤c6

と評価でき、n≤5 が従う。ところが、n=3,4,5 の場合のFermatの最終定理は別個に証明されている事実である。